広島県福山市郊外での美容室併設の住宅の計画である。
交通量の多い道路に面し両隣を駐車場に囲われる一方、裏側には用水路を挟んで里道、さらに畑とやや牧歌的な風景が広がる、表裏で表情が全く異なる敷地である。
敷地はT字路の突き当りに面し、約4.5mの狭い間口はその幅を保ったまま、遥か遠方まで視線が抜ける。
「どの様にその場所に在るか」つまり、その環境にどう置かれどういう態度で接するか、ということはとても大切で、住む人のものの考えや生き方をつくると思う。
場所への在り方として、住宅には住宅の、店舗には店舗の、それぞれの最適解があると感じた。
場所との関係性を丁寧に読み解き出来上がった、全く異なる構成の1階美容室と2階住宅。両者をひとつの建築として結び付けるべく、方杖による中間層を挿入した。
異なる2つの個性を大切にしながらひとつのものとして形づくる、ということはどこか矛盾を孕んでいるようにも思う。我々がここでやりたかったのは、両者の整合をとり綺麗に纏めるのではなく、矛盾を矛盾としてそのまま許容するような建築の模索なのかもしれない。
house H
用途 / 住宅+美容室
延床面積 / 93.3㎡
階数 / 地上2階
構造 / 高基礎+木造